国際文化情報学会 2017
~準備から発表までインタビューしました!~
2017年11月25日に開催された国際文化情報学会について紹介していきます。
国際文化学部では、毎年11月に国際文化情報学会という学会を開催しています。
この学会では、各ゼミを中心に学生、大学院生、教員が日ごろの研究の成果を発表します。学会と聞くと論文発表をイメージすると思いますが、国際文化情報学会では論文だけでなく、映像やポスター、インスタレーションといった様々な方法で研究成果を発表することができます。
今回は、稲垣ゼミと松本ゼミの学生に国際文化情報学会の準備から発表当日の様子について伺ってきました。なかなか見ることのできない普段のゼミの様子なども紹介していきます。
稲垣ゼミ
稲垣ゼミは「コミュニケーションとアート」をテーマに研究しており、アートプロジェクトへの参加などもしています。
学会では、映像部門とインスタレーション部門に出展しており、映像部門に出展した2名の方とインスタレーション部門で代表を務めた方にインタビューに行ってきました。
ゼミの様子
学会前のゼミの時間では、インスタレーション発表での展示品準備や全体の流れの確認を行っているようでした。ゼミ全体としては和やかな雰囲気の中でもてきぱきと準備を進めている印象をもちました。ちらっと見えた作品も気になりますね…!
映像部門
「法政大学国際文化学部学部生4年本多彩夏をモデルに武術太極拳のプロモーションのための映像作品」
Q1.武術太極拳をテーマに選んだ理由を教えてください。
SA(スタディアブロード)スペインの友達で武術太極拳をやっていた本多さんがいて、話を聞いていく中で武術太極拳を見せてくれる機会がありました。特に側宙などが格好良くて、もっと格好良さを広げてたいと思ってテーマに選びました。
Q2.大変だったことは何ですか?
2時起きで九十九里に朝日の撮影に行きました。とても寒くて…特に本多さんはノースリーブを着て撮影したので寒そうでした。
Q3.製作期間はどのくらいかかりましたか?
去年から制作を続けています。去年の延長線上でアップグレートしていると思います。
Q4.見どころを教えてください!
寒いところや屋上で撮った映像とテーマが陰と陽で対極になっていることです。スピードがゆっくりなところと速いところ、明るいところと暗いところの対比を見て頂けたらと思います。
☆広報委員で当日の発表を見てきました!
事前取材で早朝の寒い中で撮影したと仰っていた九十九里浜でのシーンは、武術太極拳のしなやかさや力強さを感じることができました。また、発表には本多さんもいらっしゃっていて、武術太極拳を始めたきっかけなどをお話していました。
本多彩夏さんと武術太極拳についてはこちらの記事に詳しく書かれております。
「本学部2年生 本多彩夏さんが世界武術選手権日本代表に選出されました」
https://www.hosei.ac.jp/kokusai/NEWS/topics/151011_01.html
※本多さんの学年は2015年度当時のものです。
また、本多さんが2015年にインドネシアで開催された世界武術選手権大会に出場した際の記事がこちらになります。
「本学部2年生 本多彩夏さんが世界武術選手権大会で銅メダル獲得」
http://www.hosei.ac.jp/kokusai/NEWS/topics/151202_01.html
※本多さんの学年は2015年度当時のものです。
映像部門
「映像のアート ミュージックビデオの表現」
Q1.ミュージックビデオをテーマにした理由を教えてください。
ゼミの個人製作でミュージックビデオを作成したことがきっかけです。今まで作ったビデオをまとめて発表してみようと思い今回の発表に至りました。
Q2.大変だったことは何ですか?
ビデオの中にはダンスのシーンが入っているため、ダンサーの方を呼ぶこともありました。人を集めたり、予定を合わせたりすることが難しかったです。一度データが消えてしまったときは大変でした。
Q3.製作期間はどのくらいかかりましたか?
ロケ地探しから小道具製作まで自身で考えていくため、長いものでは2,3カ月かかるものもありました。
Q4.見どころを教えてください!
私の作る作品は共通して「シュールかわいい」を目指しています。作品を見る中でそれらを感じていただければと思います。
☆広報委員で当日の発表を見てきました!
一作目のミュージックビデオ『SHIODOKI STATON』冒頭、4人の女性が駅に向かっていくシーンはかわいくもどこか不思議な雰囲気があり、その後も「シュールかわいい」の世界観に引き込まれました。ストーリー性もあり、次はどうなるのかな、と楽しみながら見ることができました。様々な撮影方法や、舞台、人物の動きから映像が出来上がっており、素人の私から見ても作品
の完成度の高さを感じました。
(画像は作品『SHIODOKI STATION』より。ほか『アポカリプス』、『モモ』の作品を含めた映像はYouTubeにアップされていますので、興味のある方はぜひ検索してみてください!)
インスタレーション部門
※インスタレーションとは、教室全体を活用し写真やオブジェなどの作品展示やパフォーマンスを行うことです。
「WILL 意思と未来」
Q1.テーマを決めたきっかけを教えてください。
グループに分かれてアイディア出しをした時に、「コミュニケーションツール」というテーマが出ました。先生からのアドバイスなどを得て、「未来派」(イタリアの詩人マリネッティにより起章された近代社会のスピード感を称えた前衛芸術運動)と「コミュニケーションツール」を組み合わせた現在のテーマに決まりました。
Q2.インスタレーション展示の見どころを教えてください。
新未来派のコミュニケーションツールということで、「こんな製品があったらいいな」と架空の製品のポスターなどの制作をしています。
展示を見て「こんな製品良いな」と見つけてもらえたら楽しいかなと思います。
☆広報委員で当日の発表を見てきました!
「未来派」に対して、稲垣ゼミでは早まったスピードを人間レベルに落とした「新未来派」を提案しています。「新未来派」の観念に基づいたコミュニケーションツールを開発する架空の会社「Will&Will Co.Ltd.」の製品発表会という形で、インスタレーション展示をしていました。
来場者にインスタグラムやFacebookの「いいね!」ボタンをイメージしたハートのシールを配るなどをしていて、楽しみながらコミュニケーションについて考えることができました。
また、「Will 意思と未来」は、インスタレーション部門で
奨励賞を受賞しました!
松本ゼミ
松本ゼミは国際協力をテーマに研究しています。
学会には、論文部門、映像部門、ポスター部門に出展しています。今回の取材では、論文部門と映像部門の学生に話を聞いてきました。
ゼミの様子
取材時には学会発表直前の発表練習が行われていました。研究内容だけではなく、話すスピードや質問への返答に関しても全員で評価を行っていました。ゼミの前の和気あいあいとした雰囲気と、練習時の真剣に意見を交わしあう姿がとても印象に残りました。
映像部門
「百年の社 -生き方が語るNGO-」
Q1.映像部門に挑戦しようと思ったきかっけを教えてください。
高校時代からテレビ局に就職したいと思っていて、論文だけでなく映像でも企画書を書けることを知り、映像部門で出展しました。
Q2.大変だったことは何ですか?
先生から紹介してもらった節はあるのですが、初対面の方に会って取材することです。
取材に行った方は居酒屋を営業されているので、何回か通って仲良くなりました。
3回目で仲良くなって、密着での取材をお願いすることができました。
最初は緊張しましたが、今となっては良い思い出です。
Q3.当日への意気込みをお願いします!
一番の目標は何かしら賞をもらうことですが、今まで自分が作ってきたことがしっかり発揮できて、なおかつ、映像で伝えたいことが見ている人に伝わり、取材に行った松尾さんの良さや活動から考えることや発見があったらないいなと思っています。
☆広報委員で当日の発表を見てきました!
日本国際ボランティ アセンター(JVC)を退職し、居酒屋の店主をされている松尾康範さんについてのドキュメンタリーです。NGOでの経験を居酒屋の営業で活かしながらも、かつてJVC職員として活動していたタイの農家の方と協力する姿が描かれていました。題名にある通り、国際協力が生き方であると感じることができました。
発表者の意気込みにもあったように「百年の杜 -生き方が語るNGO」は映像部門で
最優秀賞を受賞しました!
また、今作は2018年2月に開催された
東京ビデオフェスティバルでTVF2018アワードの入賞も果たしました。TVF2018のホームページ内でこの作品を視聴することもできますので、興味のある方はぜひご覧ください!
「東京ビデオフェスティバル2018で国際文化学部生の後藤亮介さんが入賞」
https://www.hosei.ac.jp/kokusai/NEWS/topics/180214_01.html
論文部門
「ミャンマーの民主化と難民の将来―本国帰還をめぐる支援団体の動きに着目して― 」
Q1.このテーマに決めたきっかけを教えてください。
フィールドワークでタイに行くことが決まっていて、話し合いをする中で難民というテーマに決まりました。ちょうどミャンマーが民主化したばかりで難民を取り巻く状況が変わってきている今だからこそ、おもしろいものが見れると思って決めました。
Q2.大変だったことは何ですか?
インタビュー中で大変だったことは、慣れてくるうちにしちゃいけない質問や意味のない質問が分かってきたことです。思ったことを気楽に言っていたのが、「この人だからこの質問」というように考えて話すようになったことが難しかったです。
Q3.発表への意気込みをお願いします!
6団体にインタビューをしましたが、その中には涙ながらに難民に対する思いを語ってくれた方もいました。そういう方たちから学んできたこと、伝えられたことを発表で彼らの葛藤や思いを交えながら語れたらと思っています。
☆広報委員で当日の発表を見てきました!
ミャンマー難民の帰還がクリニックやNGO組織といった現場レベルの支援機関ではどのように捉えられているかに焦点を当てた発表です。
大変だったとお話されていた現地でのインタビュー調査の内容が多く含まれていて、ミャンマー難民への支援の現実を感じることができました。今まで難民と聞くと帰還を望んでいる人が多いと思っていたのですが、今回の発表を通して帰還ではなくタイでの滞在を望んでいる方々もいることを知りました。
「ミャンマーの民主化と難民の将来―本国帰還をめぐる支援団体の動きに着目して― 」は、論文部門で
奨励賞を受賞しました!
論文部門
「バタヤはなぜ消えた?―開発途上国が抱えるウェイスト・ピッカーの問題についての考察」
Q1.このテーマに決めたきっかけを教えてください。
小学校のときにたまたまゴミ山で暮らす子供たちのドキュメンタリーを見て、このような人もいるのかと印象に残っていました。松本ゼミに入り学生生活の集大成として何がしたいか考えたとき、国際協力に興味を持ったきっかけであるこのテーマを調べようと決めました。
Q2.大変だったことは何ですか?
学会では学生に対して話し言葉で発表するため、論文とは形式、相手が変わってくるのが難しかったです。
Q3.発表への意気込みをお願いします。
発表を通して自身のの論文の面白さを伝えられたらと思います。
☆広報委員で当日の発表を見てきました!
開発途上国においてゴミを拾い、ビンや缶などを売って現金収入を得ているウェイスト・ピッカーの人々。かつて日本にも同様にゴミの回収を行うバタヤという人がいたそうです。今回はそのバタヤの歴史とウェイスト・ピッカーに対する支援に関して発表されていました。
戦後最も増加したとされるバタヤの人々はなぜ姿を消したのか、その理由にはごみ処理システムの整備とともに、日雇い労働等の働き口の確保があったことを知りました。また発表を通して、開発途上国での適切な支援の方法とは何なのかも考えさせられました。
国際文化情報学会の詳しいプログラムはこちらからお読みいただけます!
2017年度国際文化情報学会プログラム
https://www.hosei.ac.jp/documents/gakubu/kokusai/NEWS/2017/2017gakkai_p1122.pdf