2017年8月22日火曜日

ゼミ紹介:「フランコフォニーの言語文化」廣松勲先生~前編~

法政大学国際文化学部では、3年生から演習を履修することができます。開講されているゼミは、30以上!このブログでは、各ゼミの内容やゼミ生のみ知る担当教員の素顔などを紹介していきたいと思います。

初回は、フランコフォニー文学を研究分野とされる、廣松勲(ひろまつ いさお)先生のゼミです。ゼミのサブタイトルは 「フランコフォニーの言語文化」
「フランコフォニー」って、何でしょう・・・?

ここからのゼミ紹介は、廣松先生・ゼミ生の皆さんにバトンタッチします。


 ミ 紹 介 



フランス語圏(フランコフォニー)は、ヨーロッパの他に、北米大陸(カナダ・ケベック州)やアフリカ諸国(マグレブ地域と西アフリカ)、一部のカリブ海域諸島やインド洋・太平洋地域諸島など、世界中に広がっています。廣松ゼミでは、そんなフランス語圏の言語文化的な多様性と共通性を、文献・映像などを通して分析します。主なゼミの活動は、毎週課題となる本を分担し、レジュメを元に発表しています。また、卒業研究の作成に向けて、個人発表を行うこともあります。このように、フランス語というひとつのつながりから、言語や宗教、人種、教育など様々な問題について理解を深めています。(ゼミ生4年生,A.M.さん)

 あ る 日 の 松 ゼ ミ 

活動 レジュメ発表の日
廣松ゼミでは毎週指定された文献を皆で読み込んでいくという活動をしています!各自章ごとに担当を決めて、内容の要約レジュメを作成し、ゼミの日に発表という流れです。大変だけど、すごく要約の力がつきますよ!(ゼミ生3年生,M.I.さん)

活動 個人発表の日
廣松ゼミでは、卒論の準備段階として個人発表を行います。卒論で自分のやりたい研究内容、現在集めている資料、どこまで作業が進んでいるかを発表します。教授から卒論のアドバイスを頂けるのでがんばれます!(ゼミ生3年生,R.F.さん)


 ゼ ミ 生 は た ! 

昨年度は、他のゼミと合同でゼミ合宿を行い、富岡製糸場を訪れました。


合宿中、激辛のカレーを食べたり、ホラー映画好きが発覚したりと、廣松先生の意外な一面が見られて大変面白いものでした。(ゼミ生4年生,A.M.さん)

画 を 通 じ て フ ラ ン ス 語 圏 ( フ ラ ン コ フ ォ ニ ー )を 見 て み よ う !

1回 日本版DVDのある作品
1回では、日本版DVDが発売されている作品を中心にまとめてみました。
フランス語圏とはどんな地域なのか、そして各地域でどんな言語文化が育まれているのかを知るために、ゼミでは、次のような映画を見てきました。いずれも言語・文化・民族間の接触をモチーフにしており、かつ “ステレオタイプ/クリシェ”を存分に活用しながら、コメディータッチに描かれた作品です(一部コメディではない作品もあります)。当然ながら、このような映画に描かれる世界観を鵜呑みにしてはいけませんが、同時になぜそのようなステレオタイプが生じたのかを調べてみるのも面白いでしょう。

予告編はYouTubeなどでも閲覧できるものが殆どですので、興味のある方は是非ご覧ください。

1.カナダ・ケベック州の映画
①『ブレイキング・コップス』(原題:Bon cop Bad cop2006年.
⇒カナダ英語圏(オタワ)の刑事とカナダ・フランス語圏(ケベック州政府)の刑事が、オタワ・ケベック州境において発生した殺人事件現場にて出会うことになる。彼らは反目し合いながらも、その殺人事件の捜査を行うことになるのだが…。つい最近までカナダ映画史上、もっとも多くの興行収入を獲得した映画であり、2017年度には続編が公開されました。
ケベック州・モントリオール:サン・ジョゼフ礼拝堂(遠景)

2.ヨーロッパの映画:ベルギーが舞台
『神様メール』原題Le tout nouveau testament2015
⇒もしも神様がベルギーに住み、世界がベルギーから始まったとしたら?神様の娘は傍若無人な父親に反発し、より幸せな世界の創造を求めて旅をすることになる…。原題を訳すと『全く新しい新約聖書』という意味合いになります。『新約聖書』のように、ただし今回は神様の「娘」が主人公となり、使徒を集めるための旅に出ます。

3.フランスの映画:国際結婚、タイムスリップ物
③『最高の花嫁』(原題:Qu’est-ce qu’on a fait au Bon Dieu2014年.
⇒敬虔なカトリックの夫婦、彼らの3人の娘が結婚したのは、出身や宗教(ユダヤ人、アラブ人、中国人)が自分たちとは全く異なる男たちであった。そして、最後の望みの末娘が結婚相手に選んだのは、カトリックとはいえ、コートジボワール出身の黒人青年だった…。本作と比較しながら、フランス映画に於ける移民系の人々の描かれ方を観察してみるのも興味深いでしょう。

④『おかしなおかしな訪問者』(原題:Les visiteurs1993年.
⇒中世フランスの騎士とその従者が自らの過ちを正すためにタイムスリップ。しかし、到着したのは20世紀のフランスだった。どのようにして彼は過去に戻り、歴史を正すことができるか…。中世と現代フランスを旅する2人は、また別の意味で異文化を体験することになります。本作は第2作(1998年)、第3作(2016年)が制作され、またハリウッドでもリメイク(2001年)されました。



「フランス語圏は、欧米だけじゃないのか!」と、驚かれた方もいらっしゃるでしょうか。今年度のゼミ受講生は全員がフランス留学経験者ですが、フランス語を知らない学生も履修ができる、多文化・他文化共生について考えてみたい全ての方に開かれたゼミです。
フランス・アンジェ:西部カトリック大学入口
本学部SAフランス参加者は、この大学の国際フランス語研究センターで学びます(2017年度現在)
次回「後編」では、お薦め映画情報第二弾を公開いたします。
アフリカ諸国やカリブ海諸島を舞台とする作品も取り上げられますよ!
どうぞお楽しみに。